世界を敵にまわしても



「…!? な……っ」


準備室のドアを開けて中に入ろうとする広い背中を思い切り突き飛ばして、ドアを閉めて鍵をかけた。


ドサッと先生が倒れた音を耳に入れながら、あたしは上半身を起こした先生に勢い良く掴み掛かる。


「どうして先生が辞めるのよ!!」


驚きで見開かれた両の目が、あたしの存在を確認した。


「……美月。どこに……」

「ベランダ。あのまま教室に戻るわけないでしょ」


先生もあたしも床に座り込んだまま、見つめ合う。


あたしはほぼ睨んでるようなものだったけど、先生が困惑してても関係ない。


話を聞かなきゃ気が済まない。


「何でよ……何で辞表なんか出したの!?」


理事長室を出てすぐ、あたしは教室ではなく音楽室に向かった。


あのまま別れても、いつ話せるか分からなかったから。


ベランダに隠れて、先生が戻ってくるのを待っていた。


今は授業中だから、何も遠慮することなんかない。


「答えて、先生」


今しかないんだ。
今じゃないとダメなの。


この瞬間、先生と向き合わなければいけない。



もう、遅いかもしれないけど。