世界を敵にまわしても


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―――――…


「次、高城ー」


試験の答案が全て返された数日後、今度は成績表が担任から渡される。


黒沢さんと擦れ違いつつ教壇に立つ担任の前まで行くと、嬉しくて堪らないという顔が見えた。


「学年1位おめでとう! 2年になっても変わらずだな」

「「すげー!」」


……余計なことは言わなくていいのに。


1年時の担任にも思ってたけど、受け持ったクラスに学年1位がいることが、そんなに嬉しいんだろうか。


浮かれないあたしの代わりにクラスメイトが騒ぐのは、あたしがずっと1位を獲ってたことなど誰も知らないからだ。知ってたとしても、凄い、凄いの繰り返し。


「ありがとう御座います」


ペラペラの紙を受け取って、全科目の数字の羅列を見ながら席に戻る。


全て平均点より上。学年総合順位もクラス総合順位も、真っ直ぐと立って転ばない、“1”だった。



「凄いじゃん美月ぃっ」


休み時間になるとミキ達3人がやってきて、望まないことを言ってくる。


「どうりで美月が教えてくれたヤマ、当たったわけだよ」

「廊下に張り出されてたじゃん! 見に行こう! 写メろう!」

「いや、いいよ」

「あたし達が見たいの~! 行こっ!」


無理矢理あたしの腕を引っ張るミキに「勝手に見に行けば」とは言えず、4人で廊下に出た。


学年総合順位が張り出されたホールには人だかりが出来ていて、あたしは気が進まないままミキに連れられて足を動かす。