「違うっ……! あたしが悪いんです! あたしがっ、先生が誰にでも優しいのを知ってて、音楽室に入り浸ったんです……! 噂が立ったのは先生の責任じゃない!」
「噂が立ったのは、軽率だった私の責任ですから」
理事長に向かってまくし立てるあたしに続いて、冷静な先生の声に冷や汗が出る。
「理事長のお言葉は、光栄に思います。ただ、理事長はご存じないかもしれませんが、高城と噂が立ったのは2度目なんです。5月に一度、すぐに消えましたが、今回のように高城が責められる形でした」
――やめて。
やめてよ。
「それはあたしのせいで、先生のせいじゃないですっ」
理事長が先生だけではなくあたしにも視線を向けて、それをいいことに喋り続けた。
「あたしが、家族のこととか友達のことで悩んでて……っ先生が話を聞いてくれたんです! 先生は相談に乗ってくれただけで……っ」
焦る。
後から後から焦りだけが募って、泣きそうになる。だけどここで泣いたら、変に思われる。
落ち着け、落ち着かなきゃダメだ。
「……ありがとう、高城」
「……」
微笑みを向けてきた先生の瞳に見えたのは、堅い決意だった。
揺るがない、先生が出した“答え”。



