世界を敵にまわしても


「自分のことばかり考えて、朝霧先生他先生方、理事長にもご迷惑をかけて……以後、気を付けます」


顔を上げてそう言うと、理事長は僅かに頷いて先生に視線を移す。


「厳重注意ということで。いいかな、朝霧先生」


先生に微笑みを向ける理事長にあたしはやっと、本当に安心した。


理事長も、他の2人の教師も誤解だと思ってくれたんだ。


あとは生徒の間で噂が消えるのを待つだけ。


そう思って頬が緩みそうになったけど、ポーカーフェイスを続けた。


「いいえ、理事長」

「……朝霧先生。噂は誤解だと十分に分かった」

「……」


理事長の溜め息に、あたしはこの時初めて隣に立つ先生を見上げる。


その視線は届くことはなく、先生は相変わらず理事長だけを見つめていた。


「理事長が高城を呼び出し、話を聞いてご理解いただいたのは感謝しています」

「あぁ、それは分かってる。だから君にも高城くんにも、厳重注意だけだ」


……何?

終わりじゃないの?


あたしは理事長を見てからすぐに先生に疑問の眼差しを向ける。


先生の長い前髪のせいもあって、横顔だと表情が分かりづらい。