世界を敵にまわしても



「……2人が共に放課後を過ごしてるとこを他の生徒に見られた。と、取っていいのかね」

「はい。何度か、高城以外の生徒が音楽室に来てます」

「ならば、それを見た生徒が誤解を招いたと」

「……そうだと思っています」


再び訪れた静寂に、理事長は2人の教師に視線を送る。どう思うだろうかと、無言の質問をしてるんだろう。


ほんの30秒程度の理事長の行動が、物凄く遅く長く感じた。


目を逸らさずにいると、再び理事長が前を向く。


――判決を言い渡される気分だ。


「朝霧先生が生徒間で人気があることは我々もよく知っている。ただもう少し、身の振り方に気を使っていただきたい」


……やった。

と思った気持ちは、理事長と目が合ったことで直ぐに消し去った。


「高城くんも。君の学力には我々も期待している。勉強が大事だというのはよく分かるが、今回のように噂が立っては元も子もないだろう」


理事長の目は、完全に優等生を見る目だった。


あたしはそれを真っ直ぐ見つめ返してから、ゆっくり頭を下げる。


「すみませんでした」


これで終わると、安堵しながら。