「あたしはいいんだけど……その、晴が当て馬だとか言われるのはちょっと、本当申し訳なくて」
「当て馬も何も、美月と奏ちゃんは何もないんだから、無視しときゃいいよ」
ケロッと言う晴に、また胸がズキズキと痛む。
本当は付き合ってて、しかも先生は晴にヤキモチ妬いたことがあって、それでウッカリあたしが告白しちゃったんだとか……言えない。
「まぁその内みんなも飽きるって! 人の噂も四十五日って言うじゃん!」
歯を見せて笑う晴に、あたしは慌てて笑顔を向ける。
……七十五日の間違いだとは言わないでおこう。
「短いね」
「だろーっ? こっちも黙ったまんまってわけじゃないんだし、文化祭の準備でみんなそれどころじゃなくなるって!」
「フン。だといいけどな」
「なんだよ椿、フンッて! 俺もいるし椿だっているし、大丈夫だって!」
……本当に、文化祭準備の忙しさで忘れてもらえたらいい。
そしたら先生と話が出来る。先生が出した答えを聞くことが出来る。前のように戻れるなら、早く戻りたい。
でも今度はもう二度と、こんな噂が立たないようにするんだ。
……あたしはいつだって何か起きてから、今までのことを悔い改める。
これで学年1の秀才だなんて、笑わせたものだ。
――そう、本当に笑わせてくれる。
あたしはどこまでも守られているばかりで。先生が出した答えを聞くまで我慢とか、次はうまく先生と付き合うんだとか。
2人一緒ならどこまでも行けるなんて、呑気なことを思っていた自分をひっ叩きたい。
――9月初旬。夏休みが明けて数日経った頃。
あたしと先生は、理事長室に呼び出された。



