世界を敵にまわしても

―――
―――――…

「おはよー」
「久しぶりー!」


長い長い夏休みが明けて、今日から新学期が始まる。


髪色が明るいままの人もいれば、肌が焼けた人もいる。擦れ違う人擦れ違う人、夏を満喫しましたといった感じだった。


「あぁー……ダリィー」

「それにしては、身なりちゃんとしてくるよね」


体育館での始業式を終え教室に戻る最中、椿は本当にダラダラと歩く。


それなのに髪も化粧も服装も一寸の隙もない完璧さだから文句の付けようがない。


そしてあたしは、ある意味隙だらけの標的だ。


「あ、ねぇ……」

「あー、朝霧先生の……あの子だっけ?」


廊下で立ち話をしていた女子4人が、声のトーンも下げずに言ってくる。


「ウゼーな。しつけぇんだよ」

「椿っ!」


あたしの噂をしていた団体に威嚇する椿の腕を掴んで、なるべく早く歩く。


言い返してくれるのは有難いけど、ただでさえ女子に妬まれやすいのに椿まで標的にされちゃかなわない。


「ねー。あの美月って子、前も噂あったけど何か晴は当て馬だったっぽいよ」

「はぁ!? マジで!? 何様だよっ」

「え、でも噂は晴が誤解だって言ってたじゃん?」


階段を上がって2階に着いた瞬間、そんな話が耳に届く。


「……しつけぇぇえ」

「いいよ椿、行こ」


そう言いながら、あたしは頭を悩ませていた。


さすがに2回目となると、どこまでも尾ひれがつきそう。


しかも、また晴を巻き込んでる形になってる。