世界を敵にまわしても



「……っ!」


開いた携帯が、1件のメールを受信する。画面の上にスクロールされた文字は兄の名前、皐月。


けれど流れた名前を見て、周りの音全てが一瞬消えた。


意味があるのか分からない、カモフラージュ。



あたしの携帯に届いたのは、先生からのメールだった。



FROM:さつき
Sub:Re:Re:
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
逢いたい。



……何を、言ってるんだろう。


そんなの、無理に決まってる。外で逢わないって、決めたじゃん。しばらくの間だけ、我慢するって決めたのに。


少し待っててって、先生言ったじゃん。


「つーかそろそろ花火始まんじゃねぇの?」

「椿どこまで買いに行ったんだよ」


晴達の会話を耳に入れながらグルグルと考えていると、携帯が再びメールを受信する。


画面上に表示された“さつき”という平仮名に、目眩が起きそうだ。



FROM:さつき
Sub:Re:Re:
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
祭りが終わってからでいい。
美月の家の最寄り駅で待ってるから。


無理なら、それでいいよ。




……ズルイ。

こんなのは、ズルイ。


夏休みが終わる直前に、本音を出すなんて。