世界を敵にまわしても



「ウチお好み焼き食べたい」

「お。椿、一緒行くかー?」

「別に1人でいいし」

「あーあ、フラレてやんの。晴ドンマイ!」


椿は腰を上げると、人混みの中に紛れていった。


あたしは食べ終わったかき氷のカップをベンチ横にあったゴミ箱に捨てて、晴達の会話に時折混ざる。


祭りで気が紛れればいいじゃんと椿に言われたけど、どうにも元気は出なかった。


……先生は今頃、家で仕事してるのかな。


独り暮らしで、ご飯とかちゃんと食べれてるのかな。


「つーか椿のやつ、ナンパされんじゃねぇの?」

「うわ、あり得る!」


ヨッシーが苦笑すると、いち早く晴が反応する。


「……大丈夫だよ。椿、いつも1人で蹴散らすから」

「うわ、想像付く!」


晴とヨッシーが椿の真似をし始めて、似過ぎてて笑ってしまった。


晴のバンド仲間と、同じ学校の1組の女子が2人。それにあたしと椿。


こうやって過ごしていく内に夏休みが明けて、学校へ行ったら噂が跡形もなく消えてればいいのに。


……ダメだな。しっかりしないと、ダメだ。


頼って、守られてばかりじゃなくて。あたしが誰より毅然とした態度をとっていなきゃ。


そう思って、椿にあたしの分もお好み焼きを買ってきてもらおうと携帯を取り出した。


とりあえず、目先の祭りを楽しまないと。