世界を敵にまわしても


『朝霧と付き合ってるってマジなの?』
『放課後の音楽室で、ヤッちゃったんでしょ?』
『俺らも相手してよー』


……どれもこれも、面白半分。


キスすらしてないのに、どこまで尾ひれがつくんだろう。


椿が片っ端から追いやってくれたけど、聞いてる椿もいい気分ではなかったと思う。そういう人達が、椿は何よりも嫌いだから。


「お待たせーっ! 美月がイチゴで、椿がブルースカイなっ!」


かき氷を3人分持って駆け寄ってきた晴に、あたしは首を振る。


「あたしメロンでいいよ。晴、イチゴがいいんでしょ」

「えっ! いいって! 美月だって食いたいだろ?」


遠慮する晴の手から、あたしは頼んでいたイチゴではなくメロンを取った。


「いいから。あたし、何でもいいし」

「マジで……じゃあ、お言葉に甘えて!」


嬉しそうに笑う晴に、あたしも微笑み返せたと思う。


こんなことくらいしか出来ない自分が嫌すぎてうまく笑えない。


……晴も、助けてくれたのに。


噂なんてもう全校生徒が知っているくらいで、人脈の広い晴の耳には直ぐに届いた。


先生と電話で話した後、あたしと椿はだいぶ遅れて学校へ行ったんだけど。クラスメイトの反応がぎこちない中で、真っ先に晴が話し掛けてきたんだ。


心配してくれて、大丈夫だからって。