世界を敵にまわしても

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ザワザワとした雑踏の中、あたしは夜の神社を照らす出店をぼんやりと眺めていた。


少し腐ってる木のベンチに腰掛けて、隣では椿が欠伸をしている。


「ぎゃー! 何勝手にメロンにしてんだよヨッシーのバカ! 俺イチゴがいいって言ったじゃん!」

「メロンもイチゴも一緒だろーが! ほら、俺の奢りだ、食え!」

「一緒じゃねーし! 奢ってもらった意味ねーし!」


前方では、かき氷を売る店の前で晴とヨッシー達が騒いでいた。


夏休みが終わる直前の、小さな夏祭り。


あたしと椿は結局クラス全員で行こうと言っていた海には行かなかった。

申し訳ないという気持ちはあったけど、先生や噂のことがあったからどうしても行く気分にはなれなくて。


だから、以前晴に誘われて断った夏祭りは椿に行こうと言われたこともあり、参加してみた。


「あいつら、宿題終わってねぇのに大丈夫なのかね」

「椿はあたしがいたから終わったんでしょ」

「まぁなー。終わったもん勝ち」


……勝ち負けなの?


椿と騒ぐ晴たちを眺めながら、あたしは早く夏休みが終わらないかと思う。


――文化祭準備は無事に終わったけど、和やかなものではなかった。


学校のどこにいても視線を感じたし、好奇心と悪意の視線は無視するしかなくて、それでも聞こえてくる噂は耐えがたいもので。


主に3年生の男子がからかうように、噂の真相をあたしに聞いてきた。