世界を敵にまわしても



――ごめんなさい。


ごめんなさい。


そばにいられなくて。
何も出来なくて。


守られるばかりで。
言葉すらかけることも出来なくて。
抱き締めてあげることもできなくて。


ごめん。

ごめんね、先生。



「好きだよ……先生」


椿が耳にあてる携帯に向かってそう言うと、椿はあたしを見ながら頭を撫でてくる。


「……だってよ。聞こえた?」


一拍の沈黙のあと、椿はあたしの耳に携帯をあてた。


サーッという機械音のあと、先生の微かな息遣いが耳に入る。



『俺もだよ』


キツく瞼を閉じると同時に、幾重にも重なった涙の痕を新しい雫が滑り落ちた。


流れた涙を、椿の指が拭ってくれたのが分かる。



『ずっと、好きだから。少し待ってて』



――本当は今すぐ、


先生の元へ走って行きたいよ。