『しばらく、逢わないようにしよう』
耳に当てる携帯をギュッと強く握り締めて、こんなに苦しいのは今だけだと言い聞かせる。
椿の言葉を頭の中で繰り返して。
苦しくて、胸が痛んで、怖くて、不安でも。
それらが先生をどれだけ好きか表していても、あたしはそれを我慢しなきゃいけない。
いつか普通に戻るその日を、待たなければいけないんだ。
『学校で話すのも極力避ける。2人じゃダメだ。……連絡も、夏休み中はやめよう』
「……そこまで言ってくれなくても、ちゃんと分かってるよ」
もしかしたら、連絡は取り合えるかと思ったけど。
「分かってる。学校でも外でも、逢わない」
『……落ち着いたら、電話するよ』
「うん……」
いつになるかなんて、質問したって考えたって意味がないから、返事だけした。
『今どこ? 学校じゃないよね』
「うん。椿と、駅の駐車場にいた」
『そう……黒沢がいるなら大丈夫かな』
うん、大丈夫。
あたしは、大丈夫。



