「……ありがとう、椿」
「いいってそういうの。美月の朝霧への想いが気の迷いだと思ってたら、最初から応援なんてしてねぇんだから」
……心から、友達だと思える。
椿の事、1番の友達だと言えるよ。
「電話する。……出るか分かんないけど」
ズッと鼻をすすって、あたしは椿が見てる前で携帯を取り出した。
大丈夫、椿がいる。見ててくれるから、言える。
先生に、しばらく逢わないようにしようって言うんだ。
『……もしもし?』
コール5回目で、先生が電話に出る。もう他の生徒は学校で作業をしているはずなのに、携帯から雑音は聞こえなかった。
「先生……」
バカ。泣くな。
声を聞いただけで揺れ動く心と、浮かんだ涙をグッとこらえて、小さく息を吸う。
「噂が、立ってるんだって」
『……うん。朝、3年の男子に聞かれたよ』
やっぱり……椿の言ってた通りだ。
『……美月』
数秒無言だった空気を、先生の声が破る。なだめるように、優しい声。
先生の声が好きだとこんな時にまで思うあたしは、本当にどうしようもない。
きっと先生は、あたしが言おうとしてたことを言うのに。



