世界を敵にまわしても



陽の光を浴びて透ける椿の金髪を、生温かい風が靡かせる。


あたしを見つめる瞳が、今日は黒いことに今気付いた。


先生と同じ、艶のある黒目があたしをハッキリと捉える。



「美月は自分のために、朝霧のために我慢しなきゃいけない」


――泣きそうだった。


我慢しなければいけないことも苦しかったけど、それを椿がハッキリと言ってくれたから。


言葉がキツくても、あたしが進むべき道を指し示してくれる。


本当は自分で気付いて動かなければいけないのに、椿は嫌な顔もしないで心配してくれてる。


守ってくれようとしてる。


それが堪らなく嬉しくて、自分がこんなに甘ったれだとは思わなくて、それが申し訳なくて。


「……ちょっと、何で泣くんだよ」

「ご、ごめん……椿がいて、良かったと思って……」


頬に流れた涙を手で拭うと、椿は面食らった顔をして眉を寄せた。その変わった表情に、驚く。


「……何で、そんなに味方してくれんの?」

「友達だからじゃん。言わせんなアホ」


そう言う椿の頬はチークよりも濃くピンクに染まってて、初めて見た照れ顔を、綺麗ではなく可愛いと思った。