世界を敵にまわしても


「ヤダ、そんなの嫌。話せないのも逢えないのも絶対ヤダ……ッ」

「美月」

「ヤダってば! 今はダメッ……少しでも一緒にいなくちゃいけないのに!」


バシッ!といきなり頭を叩かれて、痛さと驚きで椿を見上げた。


「何すんの……!?」

「落ち付けっつーの。ダメヤダって、駄々っ子か」


椿の呆れ顔が、あたしをグッと黙らせる。


「そもそも一緒にいたいじゃなくて、いなくちゃって何? 義務なわけ? 朝霧がヘタレだから? それとも思い出作りか」

「違うっ! そんなんじゃ……」


違う?
違わないんじゃないの?


……そうだよ、椿の言うとおり。


先生は弱虫で寂しがりのくせにそれを隠そうとするから。そばにいないと気付けないじゃん。


でも義務なんかじゃない。あたしが先生のそばにいたいだけ。


思い出作りなんかじゃない。


そうじゃないのに、せめて夏祭りまでは一緒にいたいと思った。


噂のことはその後でいいって……確かに思った。


だって夏祭りが終わったら、あたしは先生に答えを問うから。


また言い争うかもしれないし、誤魔化されるかもしれない。


答えてくれても、あたしは納得できないかもしれないし、また溝が深くなってしまうかもしれない。