世界を敵にまわしても



「……は?」


文化祭準備2回目の朝。


珍しく椿が一緒に行こうと誘って来たから何事かと思えば。


学校の最寄り駅で待っていたあたしの前に現れた椿は、キツく眉を寄せていた。


駅内から出て隣にある駐車場。その隅っこで、あたしと椿は向かい合う。


椿は腕を組んで、苦い顔をして、身を裂くような言葉を再び言い放った。



「だから、噂になってる。美月と朝霧のこと」


困惑するあたしを見ながらも、椿は言い惑うこともなく話を続ける。


「昨日、菊池から電話きたんだよ。アイツ補習で昨日も学校行ってたから、噂耳にしたとかって。シラ切ったけど、やたら拡まってるらしい」

「……」

「1回しかデートしてないのに、見られてたとしても時期がおかしすぎ。夏休み入ってからだって電話しかしてねぇのに、いきなり噂立つとか不自然だろ。何か心辺りは?」

「心辺りなんて……」


あたしは考えるように視線を泳がせてすぐ、ハッとする。頭の中に、2人組が浮かんだから。


それに気付いた椿は、やっぱりというように溜め息をついた。


「あんだな。誰ソイツ」


……知らない。
名前なんて分からない。

ただ顔だけは、2年生だってことは分かる。でも……。