世界を敵にまわしても



今日の委員会は晴が言った通り簡単な説明に顔合わせを交えたもので、30分程度で終わった。


解散を告げられると、学年バラバラに視聴覚室から出ていく。


「美月、行こー」

「あ、うん……」


あたしは重い腰を上げて晴の後に続いたけれど、目は先生の姿を追っていた。窓際で他の先生と話している。


「……」


いい加減どうにかしてこいと言った椿の言葉が、頭の中でグルグルと回っていた。


「なしたの?」

「あ、ううん。晴、今日も部活で……!?」


あたしの目の前に居たはずの晴が横に吹っ飛んで、代わりに立っていたのはヨッシーだった。


「部活いくぞ晴ー」

「~っんで飛び蹴りする必要があんだよ!」

「ノリじゃん、なぁ美月ちゃん」

「いや、普通に痛そう」

「オラオラいいから早く行くぞ!」

「引っ張んなっつーの! ワリィ美月! また明日!」


背の高いヨッシーに引きずられながら、晴が両手を合わせて謝る。


別にいいのにと思いながらあたしは首を振って、微笑んだ。



2人を見送ってからもう一度視聴覚室を振り返ると、先生はまだ話中。


……どうしようもないな、あたしって。


先生と話したくて、あたしの前だと変わる先生の姿が見たくて。


触れたくて、触れられたくて、しょうがない。


あたしは視聴覚室を出ると、教室ではなく音楽室へと向かった。



先生……答えが出てなくてもいいから、話がしたい。


そんな気持ちを、先生はあたしにも持っていてくれる?