世界を敵にまわしても



「美月、時間平気なん?」

「え? あぁ、遅くなると思うっては言っといたし。勉強もしたから、特に何も言われなかったよ」


多分、勉強に差し支えなければ母はうるさくしない事に最近気付いた。


小学生の那月にはちょっと厳しいけど、兄が遊びに行った日の帰りは大抵遅いから、大丈夫だと思う。


「ならいいけど、晴たちに付き合うと電車無くなるから。帰りウチんち泊れば」


そう言って、ステージに視線を移した椿に「うん」と返した。素直に、嬉しくて。


もしかしなくても、電話をした時点で何かあったと気付いたのかな。


だったらここに連れてきたのも、あたしを元気づけようとしてくれた、とか?


あ……ちょっと、嬉しくて泣きそうかも。


「はぁ……早くしろよ晴とその他!」

「っえー!? むしろ手伝ってくれても良くね!?」

「その他って……久々に会ったのに相変わらずだなぁ、椿は」


椿の暴言に晴とボーカルの人が呆れた表情をして、ヨッシーとドラムの人は笑っていた。



――7月初旬。


先生と少し距離が出来たけれど、椿や晴が居てくれたおかげであたしは塞ぎ込まずに済んだ。


少しの不安は残っていても、それに呑まれることはないまま。



高校に入って二度目の夏休みが、近付いていた。