世界を敵にまわしても



「まぁ、暫く朝霧は放置プレイってことで」

「言い方が嫌なんですけど」


ライブハウスから除々に人気が薄くなっていき、その様子を眺めながら椿は「あ」と思い付いたように呟く。


「その間に美月に新たな男の影が出来て、焦ればいい」

「……椿でもそんな漫画みたいな事考えるんだ」

「バカにしてんの?」

「してないけど! ていうか有り得ないでしょ、男の影とか」

「夢のねぇ奴だな」


それはいい夢なの?


そもそも有り得ないって言ったのは、あたしが先生以外を好きになるわけないっていう意味だったんだけど。


言わないけどね、そんな事。


「あっれ!? 椿に……美月じゃーん!」


ステージの片付けにでも来たのか、突然現れた晴とヨッシー達にあたしは驚く。


「何で何で!? あっ! もしかして見に来てくれたわけ? どうだった!?」


ピョンとステージから降りて駆け寄ってくる晴の無邪気な笑顔といったら。


飼い主を見つけて尻尾を振る忠犬のよう。


「いつもと変わんねー」

「ヒッデェ! 汗だくになって頑張ったのにさー。美月は? どうだった!?」

「カッコよかったよ、他のメンバーも」


先生に見せてあげたいくらい。