「美月は間違ってないって。ウチも、いい大人が甘えてんじゃねぇよって思うし、デタラメばっか言いやがってクソがと思うし。少しくらい美月を信じろよって思う」
「信じれないんだよ。……先生は臆病だから」
また何かを失うのが怖くて、怖がるばっかりで。
だからいつもあんなに、想いをぶつけてきた。
人に見つかりそうなのもお構いなしに、大胆に、しつこいくらい、照れもせずに想いを伝えてきた。
自分を見ていてほしくて、離れてほしくなくて。
「……あたしがいくら好きって言っても、先生は安心出来ないんだと思うんだよね」
「だったら何回でも言ってやりゃぁいいじゃん」
椿はそう言ってあたしの手からグラスを取り上げると、自分のと一緒にカウンターへ置く。
気付けば周りの人達は帰る準備をしていて、あたし達も出なければならない雰囲気だった。
「ウチが言ってんのは、そういうこと。美月は間違ってないと思うけど、朝霧に1人で考えさせるのは良くねぇなって思う」
「……」
「さっきは、朝霧がそんな簡単に答え出せるタマかって言ったけど、違うわ。朝霧が、美月がどうのこうのじゃなくて。付き合ってんじゃん、アンタ等」
そう言われて、グサリと棘が刺さったように胸が痛む。



