世界を敵にまわしても



「とりあえずウチだったら一発殴るね」

「……言うと思った」

「んで美月も殴る」

「何で!?」


あたしが驚くと、椿は「殴んないけど」と言いながら考えるように眉を寄せた。


「朝霧に腹立つのはマジだけど。美月も、優しくしてやれば良かったじゃん。1ミリくらい」

「……出来るならしたいけど。それじゃ先生は、何も変わらない」

「アホか」

「はい!?」

「変わらねーって思うから、朝霧が自分で動くの待ってるだけ? 美月がアイツの逃げ場所になりたくねぇって気持ちは分かるけど、それって結局突き放しただけじゃん」

「……あたしは、優しく出来なかったけど。先生から離れようなんて思ってないよ」

「だから、それだって。美月が朝霧に望んでることは、自分で考えて1人で答え出せって事じゃん。朝霧がそう簡単に出来るタマかよ」


……だって。


それ以外思い付かなかった。


それが1番いいと思ったのに。


あたしが間違ってるの?


「いや、ちょっと。美月が悪いって言ってんじゃねーから! 8割くらい朝霧のが最悪」


2割はあたしが最悪なんですか……。


ていうか、最悪って言葉が何か嫌だ。


少し眉を寄せると、椿は面倒と言わんばかりに大きな溜め息をついた。