世界を敵にまわしても



――ドラスティックの演奏は最後まで熱気で溢れていて、あたしはジッと見ているだけだったのに疲れてしまった。


だけど、嫌ではなかった。


あの日と同じ。


零さんの演奏を聴いた時と同じように、感動して心が震えたんだ。


ステージ袖に下がっていく晴達4人を見てから、あたしは握り締めてるだけだったカフェオレを一気に飲む。


喉を鳴らして全て飲むと、カラン…と揺れた氷がグラスの中で音を出した。


「……椿」


ステージの方を見ていた椿は、あたしに顔を向ける。


一度だけ目を合わせて、あたしはグラスに視線を落としながら、今日先生と言い争ったことを話した。


先生がピアニストだったことも、零さんと先生のことも、先月末行ったコンサートであったことも交えながら。


あたしは洗いざらい、自分の気持ちも椿に聞いてもらった。




「何ソレ。腹立つ」


黙って聞いてくれてた椿は、あたしが口を噤むと同時にそう言って溜め息を吐く。


「何様だよ。美月はお前の駆け込み寺かっつーの」

「ん、んー……」


それはちょっと、いや、当たってるような違うような。


微妙なラインだな。