世界を敵にまわしても



「その子誰? 初めて見るわー」

「ほら。美月の分。ワンドリだから」


無視されてるお兄さんを哀れみながら、あたしは椿からチケットを受け取る。


あぁ……ワンドリンクチケット。これで飲み物1杯と交換するのね。


そう思ってる内に、再び椿に手を引かれて更に奥へ進んでいく。


先ほどのドアよりも分厚そうな鉄の扉の前に立つと、椿はあたしの手を離して扉を開けた。


「わっ!」


ドンッ!と突風のように音が響き、ビリビリと体が震えて、眼前に拡がる始めての光景に目を見開く。


やっぱりここ、ライブハウスだ……。


結構イメージと違う。ライブって言うと、もっとすし詰め状態だと思ってた。


割と広くて、人もそんなに多くはない。


ステージのまん前で騒いでる人も居れば、入口付近に備え付けられたカウンター席に座ってる人も居た。


「あー、ちょうど次だな。ドラスティックの出番」


椿は遠くを見るようにスッと目を細めて、今ステージに出てるバンドを見つめる。


――DRASTIC。


聞き間違いでなければ、次に出て来るバンドの中に晴が居る。