世界を敵にまわしても



「……美月の事は、この学校に来てすぐ見つけた。入学した頃、今より髪長かったでしょ」


あぁ……そうだ。1年生の秋頃に切ったけど、胸下までは確実に伸びてた。


「……初めて見た時、零かと思った。似てると思うよ。だからきっと、毎日美月の姿を探してた」


話の流れから言われるだろうなとは勘付いてたのに、いざ言われると嫌な気分になる。


悲しさももちろんあったけど、悔しさとか怒りの方が強い。


「だけど、どこかつまらなそうにしてるなって思って……」


先生はそう言いながら、再び蓋がされた鍵盤に視線を戻す。


……まぁ、言い辛いもんなのかな。1年生の時からあたしを見続けて、零さんと似てるってこと以外に思ったこと。


「……被ったんだ。俺と、似てると思った」


そうだね、先生。


『自分をごまかし続けるのも、逃げ続けるのも寂しくない?』


あれは自分に言ってるようなものだったんでしょう?


きっと、どこか似てたんじゃないかと今なら思う。あの頃のあたしと、先生は。


だけど。


「気になって、気になって……話してみたいと思って……。前も言ったけど、2年生になって美月が音楽選択してるもんだから驚いたんだ」



あたしは先生と似てる気なんて、これっぽちもないよ。