「せ、…っ!?」
「シッ」
突然口を塞がれて、驚きと困惑であたしは黙る。
何だろうと思ってると、耳に届く複数の足音。
……誰か来た!
「センセーっ!」
ガラッと音楽室のドアが開いたのが分かって、あたしは先生との状況に急速に焦りが募る。
バレる……!
「……! ……!」
バシバシと先生の足を叩きながら顔を後ろに向けると、先生はあたしの口を抑えたまま「シーッ」と意味不明な事言う。
「あっれー? 居ないじゃん!」
「センセーっ!? あ、準備室じゃん?」
やばいやばいやばい!!
グッと腹部に圧迫を感じて、突然後ろに引きずられる。
準備室のほぼ真ん中にある作業机の下。その端に身を隠した瞬間、準備室のドアが開いた。
「せっ……いないじゃん」
「えーっ! 何だよ!」
「てかマグカップ落ちてるけどっ」
いい、いいから! ほっといて!!
「ははっマジだ。片付けに行ったとか?」
「あぁ、布巾とか取りに? どこまで行ったのかなー」
ドッ、ドッ、と鼓動が激しくなる。



