世界を敵にまわしても



会計を済ませて店を出ると、服が見たいと言う椿とファッションビルに向かう。


まだ3時過ぎだけれど、どこの学校も試験中か今日が最終日なんだろう。街中は制服を着た学生が多く目についた。


「ていうか、マジで気を付けろよ?」

「何いきなり」


椿は擦れ違う他校の学生を眺めてから、あたしに視線を移す。


その眼差しが真面目なものだと分かって、少し息を呑んだ。


「付き合うのも、どこで会うのもイチャつくのも自由だけどさ。見られんなよって事」

「それは気を付けるでしょ」


あたしと先生の関係が周りに話せるようなものじゃないってことぐらい、あたしも分かってるし。


「ならいいけど。朝霧もなー……あんま危機感なさそうだよな」


いや、先生だって危機感ぐらい持って……。


……あれ?


「あ、これも理由になるじゃん。朝霧が子供っぽいって思う理由」


椿の言葉が胸に突き刺さる。かと思えば鈍器のように、頭にガツンと衝撃を与えた。


「人目とか気にしなそう。気を付けろよ」

「……あぁ、うん。気を付ける」


……気付かなかった。


というより、あたしが1人で浮かれ過ぎてただけかもしれない。



先生って多分、気にしてない。