世界を敵にまわしても



「モヤモヤする」

「だろ。それだって」


いや、あたしのは別の意味なんだけど。


アレだ。答えが分かってるのに、出てこない感じ。言葉が喉奥に詰まってるみたいな、変な感じがする。


椿はドリアを食べ終わって、まだ何か頼む気なのかメニューを眺めている。


「子供って言われてもな……確かにそういう面もあるけど、大人だって思う時もあるんだよね」

「だからそれだって。それ聞いて更にモヤモヤすんべや」


え? する? ……するかも。


いやこれは一種の錯覚的なものだと思うんですけど。


椿がモヤモヤするとか言うから、あたしの中でほぼ確立されていた先生像が、ぼやけてくる。


「てか、ウチもよく分かってないから。そんな考えた事ねぇし」

「そりゃそうだろうけど……」

「ちなみにウチから見て美月は意地っ張りで、晴は単細胞バカ」


当たってるよりもまず、晴への言い草がひどすぎるよね。


椿は頼む物が決まったのか、呼び鈴を押してメニューを置いた。


注文を取りに店員が来て、椿がアイスを頼むのを眺めながら晴の事を考える。


「でも晴って、無意識なんだろうけど大人なとこあるよね」


店員が去ると同時に言うと、椿は「あ」とあたしの顔を見て言った。