世界を敵にまわしても



「……何で、そう思うの」

「はん? 見てれば分かるし」


……ごまかすことすら出来ないっぽい。


そもそも、椿の楽しげな表情の裏に真剣さが垣間見えて。その真摯な瞳を見る限り、あたしの下手な嘘は通用しない気がする。


あたしはもう一度水を飲んでから、頰づえをつく椿を見つめた。


相変わらず計算しつくされたような美しさ。黙ってるだけでも、凛とした強さが雰囲気からにじみ出てる。


……先生とのことを言おうと、言いたいとは思ってたけど、まさかこんな形で言うことになるなんて。


「ウチに隠し事なんて100年はえー」


心の中でも読めるんですか、あなた。


「……先生には?」

「朝霧? 美月が言わなかったからアイツにも聞くつもりだったけど」

「……自分から言う前にバレるとは思わなかった」


溜め息混じりに認めると、椿は満足そうな笑みを見せる。


……あたしが勝手に認めた事に、先生は怒らないと思う。むしろ椿にバレてたって言ったら笑いそうだなと思った。


「で、いつから?」

「……椿こそ、いつから気付いてたの」


再びフォークを持ちながら問うと、椿は「アレ」と抽象的な事を言う。


「軽音部の部室にいた時? 朝霧来たじゃん」

「あぁ……」


あの時か。あたしが先生に好きって言っちゃって、逃げ回ってた時だ。