世界を敵にまわしても



「っはー! もう俺ダメ! 今回ダメだわ!」


……まぁ変わらず晴は最高ランクらしい、人気っぷりだけれど。


ていうか勉強もヤマも教えたのにダメって、聞き捨てならないんですけど?


「もー奏ちゃん、ほんとマジ頼むよ」

「何を言ってるのか分かんないんだけど?」


集められた答案用紙の端を机の上で揃える先生はニコリと微笑んでいる。


「だぁからぁっ! 少しでも……」


晴の声が遮られたのは、バサバサッと先生が揃えていた答案用紙が落ちたからだった。


「ちょ、奏ちゃんって案外ドジな……!」

「……宮本が大きい声出すから」

「俺のせい!?」

「冗談。あー、いいよ大丈夫、拾うから。ありがとう」


前の席にいた生徒が拾おうとすると、先生は手を軽く振って自ら拾い始めた。


早々と答案用紙を拾い集めた先生はもう一度机の上で揃えて、微笑む。珍しくぎこちないものだった。


「時間取ってごめんね。じゃあ、今日はお疲れ様。明日で最後だから、頑張って」


明日で最後という言葉に晴やクラスメイトは沸き立ち、先生は教室を後にした。


「……朝霧ってさぁ」


騒ぐクラスメイトを眺めていると、椿が椅子に片膝を立てながら呟く。


「先生? が、何?」


どうでもいいけど、パンツ見えるんじゃない?ギリギリ見えない感じなの?