世界を敵にまわしても



「笑い過ぎ!」

「イテッ! ははっ、ごめん。怒らないで」


怒ってない。ちょっと腹は立てたけど。……変わんないか。


「ドライブがてら、次どこ行くか決めよう」

「……うん」


先生は子供っぽい時もあるけど、やっぱり大人なんだなと今日だけで何回思っただろう。


車を運転する姿も、急かす事なくゆっくり予定を決めていく姿も、当たり前に奢ってくれる姿も。


高校生のあたしにとっては、十分大人に見えた。


あたしよりも長く生きてるわけだから……あれ?そういえば、7つも歳が違うんだ。


あたしが17で、先生は24だから……。


自分がひどく、子供に思える。


「どこ行こっか。とりあえずブラブラする?」


車に乗り込むと、先生はシートベルトを締めながら言う。


あたしは軽く頷きながら「とりあえずブラブラ」と先生の言葉を繰り返した。


「真っ直ぐな道走りたいなー」

「……先生って運転好きなの?」

「好きだよ」


そう言った先生の声が、あたしを抱き締めて呟いた声色と似ていてドキッとする。


音楽室で、あたしが改めて二度目の告白をした時。


思い出して赤面しそうなのを何とか堪えて、あたしは一応顔を見られない様に道路の先を指差した。


「真っ直ぐなら国道じゃない? アレ」


先生はハンドルに体を寄せて、先にある青い看板に目を凝らす。