世界を敵にまわしても



パーキングエリアに向かうまで何気ない会話をしながら、あたしは擦れ違うカップルを見ていた。


今まで全く気にしたこともなかったのに、興味すら湧くなんて不思議な話だ。


自分より年下や年上のカップル、同年代のカップルを見掛ける度その姿や表情を見てしまう。


ただ並んで歩くだけだったり、腕を組んでたり、手を繋いでたり。


たまに見てるこっちが暑苦しい程密着してるカップルも居たけど、あたしにはどれも遠い存在に思えた。



「高城って嫌いなものあるっけ?」

「特に。でも肉より魚派」

「ほんと? 俺と一緒」


あたしの右側を歩く先生はわずかに振り返って「脂っこいのダメなんだよね」とか繊細ぶる。でも何となく、そんな感じ。


「高城はパンより米派って感じがする」

「何で。どっちも好……っ」


チリンッと音が聞こえたと同時に、突然肩を抱き寄せられた。

「すんませんっ」という若い男の子の声に続いて、「いいえー」という先生の声。


「……」


後ろで小さな風が起きて、見ると自転車が通り過ぎた後だったらしい。


スルリと先生の腕が離れたことにハッとして、慌てて後ろに一歩下がる。