世界を敵にまわしても



街中にある、雑貨を扱うチェーンて店。その中にある本屋で、あたしはひとり、参考書を眺めていた。

……難解レベルと、応用レベルも欲しいかな。


資格を取るための問題集も必要か考えながら、ひと通り新しい参考書に目星を付けたあたしは、先生を探しに行く。


ジャンル分けされた本屋の中で欲しい本を物色する人たちはたくさんいるのに、あたしはすぐに先生を見つけることができた。


まるで、先生をすぐに見つける能力がついたみたい。


「せ、……」


パッと口を塞いで、雑誌を読んでいた先生の姿を見つめる。


……危ない。外で先生って呼んだらダメだよね、多分。


先生のそばというより背後から近付き、何を読んでるのかと覗くと、あたしに気付いた先生がパタンと雑誌を閉じた。


「終わった?」

「うん、大体。もうちょっと考えてから買う事にした」

「慎重。高城らしいね」


先生は棚に雑誌を戻しながら言って、あたしはその雑誌が音楽雑誌だった事に表紙を見てやっと気付く。


「やっぱり見る雑誌は音楽関連なんだね」


さっき覗いた頁は誰かのインタビュー記事だったから分からなかったけど、クラシックの雑誌みたい。


「まぁ、仕事にもしてるし」


……そういえば、教師って土日も忙しいものだと思ってたけど、そうでもないのかな。


先生に「行こう」と促されて、あたしはその後に続く。本屋を出ると、昼時のせいか来た時より人口密度が高くなっていた。


「もうすぐ1時だけど、俺の好みでいいならそこで食べる?昼飯」

「あ、うん」

「じゃ、駐車場戻ろう」


色んな人と擦れ違いながら、あたしは僅かに先生の後ろを歩く。


ピッタリと隣を歩くのは、まだ少し恥ずかしい。