世界を敵にまわしても



「高城は想像通り」

「想像しなくていいよ」

「似合うね、そういう格好」

「……」


無反応でいたかったんだけれど、あたしの体温は素直らしい。


徐々に顔に熱が集まるのが分かって、ごまかすようにシートベルトを締める。


「似合うね」

「だぁ! 分かったから!」


バシッと右にあった先生の腕を叩くと、先生は喉の奥で笑う。


先生は気にしてないだろうけど、素直にありがとうと言えない自分に、複雑な気持ちになった。



――プップーと後ろからクラクションが鳴らされて、あたしと先生は同時に振り返る。


……市営バス。


「邪魔だってさ」

「はは! じゃ、行こうか」


先生は手際良くギアチェンジしてサイドブレーキを解除すると、ハンドルを回して車を発進させた。


大通りに出る為に赤信号で止まり、ウィンカーの音があたしの鼓動と重なってる錯覚を起こす。


さっきから心臓の音がうるさい。


先生が車を運転するなんて意外だし、服も車種も詳しくはないけどカッコイイと思った。


何より学校では見れない先生の姿に、ドキドキしていたんだ。