世界を敵にまわしても

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梅雨入りは例年より少し遅れるらしい。


毎朝見てる天気予報のお姉さんが、笑顔で言っていた。今日1日中、晴れやかな空が広がるとも。



結局あたしの服装はいつも通り。細身のスキニーデニムに、英字のロゴTシャツ。


それに七分丈のシフォン素材のブラウスと、ヒールが低めの黒いパンプスを合わせた。


多分、変じゃないと思う。家を出る時に何回も確認したし……。


長めのブラウスの端を掴んで、小さく溜め息をつく。


自宅から歩いて10分程度の最寄り駅。


昨晩の9時頃に先生から電話が掛かってきて、ここを待ち合わせ場所に指定された。


割と大通りに面しているところで、駅前はタクシーやバスが止まれるよう専用の道路になっている。


今も1人の女の子が母親の運転する車から出て来て、掛け足で駅内に入って行く。


あたしはそんな光景を何度か見ながら、隅っこに1人で立っていた。


待ち合わせ時間は11時半。腕時計を見ると、ちょうど5分前だ。


……き、緊張してきた。


いつもと変わらないストレートの髪を撫で付けると、控えめに鳴らされたクラクションに顔を上げる。


タクシーが2台止まる場所に、1台の黒い乗用車が止まっていた。