世界を敵にまわしても

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――――…


「3日連続で遅刻って、なにごと」


ホームルームが終わった後に登校してきたあたしに、椿は怪訝そうな表情を向けてきた。


「何かダルくて」


本当は朝、先生に会いたくないから。って、浅はかな考えだと自分でも思う。


どうせ帰りのホームルームでは会うんだけど、出席を取るわけでもないから話さずに済む。


「先生、登校したら職員室とか言ってた?」

「朝霧? 別に何も」

「そ。なら良かった」


……先生も、あたしが遅刻して安心とかしてるのかな。


「何か暗くね? 風邪?」


椅子に座ると椿はあたしの机に頬杖をつく。


「……んー……風邪ではないと思う」

「ふーん?」


納得いかなそうにしながらも、椿はそれ以上何も言わなかった。


……椿に話せば、何て言ってくれるんだろう。


それも少し考えたけど、実行することはなかった。


あたしは結局、3日前に逃げたままの自分を続けている。先生を避けて、視界に入ったら目を逸らして。


この先どうするか考えているつもりで、ただ目先の事から逃げているだけだ。


でも、そうする事しか出来ないのも本当で。


“でも”とか使う自分に嫌気が差すのも本当だ。



……自分の中で答えが出るまでこんな事を続けるのか、あたしは。