世界を敵にまわしても



「何なに、椿呼び出し?」

「晴」


椿の食器を下げに行くと、同じように晴もトレーを返却口に置く。


「多分、提出物の催促だろうって」

「はは! アイツほっとんど出さないからなー」

「晴もでしょ」

「うぇえ!?……まぁ、俺も呼び出しくらった事あるけどさっ」


「出しなよ」と笑いながら言うと、遠くの方から晴の名前が呼ばれる。


ヨッシーだ。


「おー、美月! 何か久々?」

「そうかも」


まぁ、もう守ってもらう必要は無くなったから当たり前だけど、この場合知らないフリした方が良さそう。


「さっきまで、椿すっげ見られてたなー」


ヨッシーがそう言うと、晴は笑いながらズボンのポケットに手を突っこんだ。


「だなー。美月もいたからだろうけど」

「あぁ、椿って1人のイメージ強いもんね」

「「……」」


え、何?


無言かと思えば、何で今度はちょっと笑ってるんだ。


「美月、俺の嫁に来い」

「何言ってんのヨッシー。ヤダよ」

「あはは! 即答されてやんの!」


「うるせー!」とヨッシーと晴がじゃれ合うのを見ていると、不意に視線を感じてそこへ目をやった。


……あ。