世界を敵にまわしても



「先生には関係ないって言ってるんです」


教室に充満する空気が凍って、端から溶けていく気がした。


あたしに関する微かな話声は、今は聞こえないフリをする。


「あたしと、菊池さんたちの問題なんで。ほっといてもらえますか」


とりあえず先生を黙らせたかった。介入してほしくなかったし、また先生に助けられるなんてご免だったから。


「ちょっと!!」

え……。


先生を黙らせて、あとで話をしようと思ってたはずの菊池さんが立ち上がっている。


廊下側のいちばん前。菊池さんはそこで、あたしに振り返っていた。


「何でアンタがいい子ぶってんの!?」


何ではこっちの台詞なんですけど!


「ムッカつく! アンタのその涼しい顔がムカつく!」


ちょ、ちょ、何!?
何でいきなりここでキレるの!?


「ちょっと、何で今そんな話になるのっ」


慌てて立ち上がると、菊池さんは鬼の形相であたしに近付いて来る。


「はぁ!? 勝手にまとめんなって言ってんだよ!」

「あたしはただ、あとでちゃんと話そうと思っただけで……」

「だぁから! その余裕がムカつくんだよ!」


よ、余裕?あたしのどこに余裕なんてあったわけ!


いっぱい一杯で、最善を考えてしたことなのに。


「もうマジでムカつく!」


何であたしがキレられなきゃ……。


「いい子ぶってんじゃねーよ!」