世界を敵にまわしても



「下駄箱でモメてたって、本当?」

「知らな~い。何のことですかぁ?」


待って待って。何この疎外感。当事者であるあたしが、まるで、のけものにされてる気がする。


あたしだってその場にいたし、モメてたっていうならあたしと菊池さん達じゃないの?


「3対1だったんでしょ?」


だからその対1があたしだって知ってるんじゃないの!


何で先生は、あたしの方を見ないんだ。


「……別に喧嘩してたわけじゃないんで、誤解でーす」

「そうなんだ。理由は何?」


会話が噛み合ってないってば。何でそんな菊池さんばっかり……。


そう思って、ハッとする。


「理由くらいあるよな?」


先生を見ると、変わらず微笑んでいるけど怒っているようにも見えた。


朝の出来事を知っているであろうクラスメイトが、固唾を呑んで菊池さんの反応を見てるように、あたしは先生をジッと見つめた。


椿が言ってた言葉は、この事?


もしかして先生は、またあたしを助けようとか思ってる?


全部知ってるくせに、知らないフリして……。


「菊池。俺は別に怒ろうとかじゃなくて……」

「先生」


言葉を遮ったあたしに、先生と菊池さんが視線を移した。椿も晴も、クラスメイトですらあたしを見つめて来る。


「……何だ?」


レンズの奥で細められた瞳に、あたしは笑い返さなかった。


もし今先生がしてる事が優しさなら、


そんなものはいらない。