世界を敵にまわしても



「今日も全員いるね。……ところで、ちょっと小耳にはさんだんだけど」


教壇から降りて、脚の高い机に肘を置く先生にクラスメイトは静かになる。


「朝、このクラス内で喧嘩があったって、本当?」


……いやいやいや…。


ちょっと待って。たかが数分の出来事だったのに、何で先生の耳にまで入ってるの。


怒られるの? 怒るの? 誰が、先生が?


「別に何もありませーん」


困惑していると、菊池さんの声が教室に響く。見ると、菊池さんは頬杖をついて先生を見ていた。


前に座る椿の横顔が、“はぁ?”といった感じで、あたしは一気に焦りが募る。


ついさっき、菊池さんたちとちゃんと話そうと思ったとこなのに。


「そうなんだ」


そう、先生、余計なことは言わないで! 顔に全部知ってますって書いてあるけど、黙って!


「内1人が菊池だって聞いたんだけど、違うの?」

「くっ……」


椿、笑えない。

笑いごとじゃないよ、見てみなよあの菊池さんの顔!


眉を寄せる菊池さんに先生は相変わらず微笑みを向けるけど、あたしには意地悪いとしか思えない。


そんな2人を見てるクラスメイトがコソコソと話しだして、嫌な空気になっていくのが分かった。