「やっぱ正面から向かうべきかな」
予鈴が鳴って、教室に向かう途中で呟くと、椿があたしに視線を向ける。
「何、タイマンか。思う存分ぶちのめせ」
いちいち考え方がヤンキーじみてるのは何でなの。
「あのね、しないから。話すだけ」
「何ソレ、つまんな」
つ、つまんない!?
「菊池もネチネチ遠回しじゃなくて、本音言えばいいと思うよ」
「あぁ、それは分か……っ」
教室に入ろうとする前に言葉が詰まって、とっさに壁に背中を付けたあたしに椿は首を捻る。
教室内を見て直ぐに解ったらしく、鼻で笑われたけど。
「ウケる」
「……囲まれるのは、どうにも慣れないんだよね」
教室内にはヨッシー含む1組の皆さんが晴の周りに集まっていた。
嫌じゃない。
だけど今は、困る。
「朝霧も大変だな」
「は?」
「入って大丈夫じゃん? もう本鈴鳴るし」
そう言った椿が教室に入ると本鈴が鳴り、1組の人が慌ただしく教室を出て行く。
「あ、美月ちゃんおはよー!」とか、廊下に立つあたしに気付いた何人かと挨拶を交わしたけど、今日は囲まれる事はなかった。



