目が合った菊池さんは、どこか怒りを含んだような目をして、口の端を上げていた。


……やることやってるだけある?って何だ。


「黒沢と仲良くなっても、男と仲良くはなれないんじゃなーい?」

「……は?」

「ウチ等昨日見たんだよねー」

「放課後にコソコソ何してんの?」


意味が分からなかった言葉の欠片が、頭の中でひとつになる。


「晴狙い? それとも、奏ちゃん狙い~?」


――あぁ。あたしは椿だけじゃなくて、晴と先生との線も踏み越えてたわけか。


Bランクはそれに見合った男と仲良くしとけ、ってことね。


「てかね? どっちも無理じゃん? 諦めた方がいいよ」


困った。まさかここで晴と先生のことまで出て来るとは思わなかったな。


昨日見たって、どこで見たんだろう。


「奏ちゃんの雑用やってポイント稼ぎ?」

「え、そうなの? どんだけ優等生レベル上げたいの!」

「その上、ちゃっかり晴と仲良くなってさ~。マジでどっちも狙ってるとか?」


……それを言うなら、あなた達もだと思うけど。


ていうか声が大きいから、晴がさっきからこっちを見てるんだけど。