「悪いことなの?」


悪くはない。

だけど、Bランクの位置に居るあたしが、Aランクの人に楯突くことがダメだと言いたいんでしょう?


でもそんなこと言えないんだ。口にすることはなくても、誇示はしてきたはずだから。


クラス内で自分たちが1番上等だって、椿に嫌がらせとかして。


それこそ暗黙の了解だったはずなのに、クラスの輪を乱した輩がここに1人。


――何だコイツ。
って顔に書いてある。


「あたし、別に椿のこと嫌いじゃないから」


目を見開いたのは、椿と呼び捨てしたことにだろうか。


それとも、完全に格下の奴が自分たちに逆らうようなことを言ったからだろうか。


「へぇ~……そうなんだ」


完璧に、踏み越えてしまった。あたしと椿を別っていたBランクと最低ランクの線を。


……そもそもランクがどうのなんて考えてるのは、あたしくらいだろうな。


でも菊池さんの表情を見る限り、あたしは椿と同じ位置にされたと分かる。


「まぁいいんじゃな~い? 仲良くやりたきゃ、すれば」


案外アッサリ転落したかも。


これだけで終わるとは思えないけど、ひと段落したと思った、のに。


「大人しそうな顔して、やることやってるだけあんじゃん」


今までの会話の内容といまいち噛み合わない、菊池さんの言葉に逸らしかけた視線を戻す。