「つまりミキ達と居ると、あたしが浮いてるってこと?」
「ああ! そう! そんな感じ!」
なるほど。晴の眼にはそんな風に映るのか。
……あたしって、自分で思ってたよりも、美月を偽りきれてなかったのかも。
先生には最初から、つまんなそうな顔してるって言われたしな。
「でも別に悪いって言ってるわけじゃないから、ほんとっ」
「はは、いいよ。それで、さっきのシュッて、何?」
「うぇえ!? いや、スマート? 何て言うか……もうそれはイイよ……」
困った様子に笑うと晴は悔しそうに眉を寄せたけど、すぐ同じように笑った。
名前のように、晴れの日が似合う人。性格の明るさも笑顔も、太陽みたい。
「こんな風に話す日が来るとは思わなかった」
「えー? あぁ、でも何か変わったよな、美月」
変わった? 日常だけじゃなくて、あたし自身が……?
「雰囲気っつーか、明るくなったと思う。あ、別に前が暗かったとかじゃなくて!」
焦ったように付け足す晴に笑うべきだったんだろうけど、あたしの頭の中は別の事で一色になる。
「……晴」
別にそんな、マズイ事言ったかもって顔はしなくていいから。
「楽譜、読める?」
日常が、あたしが、変わるきっかけになった楽譜。



