世界を敵にまわしても



「あっれ? 美月も居たんだ!」


あたしに気付いてニカッと白い歯を見せる晴に、思わず笑ってしまった。


「晴、頭どうしたの」

「あ、コレ? 邪魔だったからさ~、結んだ!」


普段横に流してる晴の前髪が、ちょんまげになっている。


ピンクのチェック柄にラメが入ったシュシュは、女の子から借りたんだろう。


特に違和感は無いけど、シュシュから飛び出す毛先が、歩く度犬の尻尾みたいに揺れている。


「今日はどうした?」

「これ、CDラジカセー! 返しにきた! あんがとねっ」

「あぁ、どういたしまして」


先生は晴からCDラジカセを受け取ると、元の場所に戻しに行く。その間に晴はあたしの横に立って、キョロキョロと机の上を眺めた。


「何してんの? 手伝い?」

「うん、終わったけど」

「奏ちゃ~ん。あんま美月に雑用押し付けんなよ~!」


え、別に今日はたまたまというか。話してる間手が暇だったから……。


「じゃあ今度、宮本が手伝ってくれる?」


ニコッと笑う先生は意地悪で、晴は「無理」と即答していた。


「ははっ。今日はありがとうね高城。俺もう職員室戻らなきゃ」

「本村先生の机汚いから、嫌って言ってませんでしたっけ」

「え! 何それウケんだけどー!」


あれ、言っちゃダメだったっぽい。


先生に「コラ」と目で訴えられて、あたしは手で口を押さえながら目を逸らす。