僕はナナミを見た。



ナナミはTVを見ていた。



僕はナナミの手を離した。



そして、ベンチから立ち上がり、背を向けたまま「助けたい」と言った。



「やめて…、お願い…」



僕は振り返った。






ナナミも立ちあがっていた。






「ごめん、でも伊藤のことが気になるんだ。
僕は世界のことなんてどうだっていい。
でも伊藤は僕の親友なんだ。
仲間なんだ。
僕の力が世界を滅ぼす力であっても、僕は仲間のために力を使いたいんだ。
守るために…」




「ミコト君、あなたは親友の伊藤君を守れれば、世界が滅んでもいいの…」






「滅ぼさないさ…。僕はそんなことしない」






僕はナナミに抱きついた。







「『お前はいずれ才能に目覚めるだろう。『選択』次第で人を幸せにも、不幸にもさせてしまう。使い方を間違えるな』。
死んだお父さんが言ってたんだ。
僕の能力は世界を滅ぼす力かもしれない。
でも、それは僕の『選択』次第なんだ。
僕は伊藤を助けても…戦争になっても世界を滅ぼしたりなんかしない」







「ミコト君…」





「帰ろう。僕たちの町へ」








「うん」