「消しなよ私を。そしたら楽だよ…?」
ニセモノが顔を寄せ、私の耳元で呟いた。
そうかもね。
楽かもね。
そうやって私は消えて、それでこの目の前にいる洋子はきっとまたたくさんの人を傷つけるんだ。
「私は…あなたを私の中に戻す。」
「…戻す?わかってんの?……それって、私がやった罪を全部背負うってことだよ?」
「うん。」
「……」
「あなたは私だもん。同時に…私はあなたでしょ?だから私とあなたが一つに戻るのが正解だよ。」
それに…
私には私のことを信じてくれた人たちがいる。
私には裏切れないよ。
ニセモノと私の距離は数センチ。
血がこびりついたニセモノの手が再び振りおろされようとしている。
だいじょうぶ。
私は両手を広げた。
だいじょうぶ…。


