バケバケ




ニセモノがゆっくり手を振り上げる。


…私…消えちゃうの?




その時、私はあることに気が付いた。


さっきまで気がつかなかったけど、このニセモノの私の手…


「それ…」


「?」


ニセモノが手を止める。


「あなた…窓ガラス壊しただけじゃないの…?」




ニセモノの手には赤いものがべったりとついていた。


少し固まって黒っぽくなっているそれは…


「血…」




「あっれー?気づいちゃった?」


「何したの…?まさか誰かを…」


もしそうなら、私はこいつをなんとかしたところで帰る場所があるの?




「安心してよ!人間の血じゃないから。」


「じゃあ…何の…」


「あんたの身近にいる人間じゃないバカな男のものだよ。」


私の身近にいる…
人間じゃない…


「シイ!!」


「あったりー!」


「シイは…?シイは今どこに…」


「んー…それは教えられないね。」




そんな…
シイを…私が…?