バケバケ





ニセモノの私が動き出す。


「ただの人間のあなたに勝ち目なんてないよ!」


「本物の私がニセモノに負けるわけないでしょ!」


ニセモノの拳が私の耳をかすめた。


危なかった…。




ニセモノはどんどん攻めてくる。


どうしよう、私もなんか攻撃しないと負けちゃう。


「あっ!」


ニセモノに足を引っ掛けられ、バランスを崩してしまった。


ニセモノはそれを逃さない。


さらにニセモノに突き飛ばされ、私はその場に倒れた。


早く起き上がらないと…!



「!」



起き上がる間もなかった。


私の鼻先にはニセモノの指先があった。


「おしまいだね。今からこの手で消してあげる。…それで今日から私が洋子!」



「……」



諦めちゃだめ。


これは私自身なんだから。

私が負けるわけない。



「もう少しへこんだら?」


「まだあきらめてないから。」



「あっそ。」