泣いてる場合じゃない。


私は目を開けた。


そして目を疑った。


「…え…?」




私の目の前に広がっていたのは学校の廊下ではなかった。


私は怖いくらいきれいな緑の木々に囲まれていた。


どうなってるの?


私…学校にいたはずなのに。




「あー来た来た!ニセモノー!」




笑い声が木々の中をこだまする。


「だれ?」


「ここ、ここ!」


「あ!」


前方に人がいる。


こっちに向かって手を振りながら近づいてくるそれは紛れもなく私自身だった。


夢じゃなかった。


もう一人の私はいたんだ。


「どうだった?窓ガラスの件こらーって怒られちゃった??」


「…あんた、バケバケでしょ?」


「ほっ??」


「じゃなきゃこんなこと出来ない。」


「あはは!……違うよ。」


私のニセモノが冷たい目を私に向ける。